頸部は、頭と胴体をつなぐ役割があり、この部位には全身の新陳代謝などに関わる甲状腺などがあります。
また、頸部のリンパ節の腫れは口腔、咽頭、喉頭の様々な病気で生じる可能性があります。腫れが目立つとき、痛みがあるときには医療機関を受診してください。
ムンプスウイルスによって耳の下から頬の辺りにかけてある唾液腺に炎症が起こり、耳下腺部が腫れてくる疾患です。一般的には「おたふくかぜ」と呼ばれています。学校保健安全法で第二種伝染病に指定されているため、耳下腺に腫脹がある間は学校に行くことが出来ません(出席停止)。大人の場合も、感染拡大のおそれがあるため、出勤停止が望ましいと考えられています。
流行性耳下腺炎に罹患すると、耳下腺腫脹のほか、リンパ部の痛み、発熱、食欲低下などの症状がみられます。通常は1~2週間ほど安静にしていることで軽快します。但し、髄膜炎や髄膜脳炎、高度難聴、睾丸炎、卵巣炎、膵炎などの合併症を引き起こすことがありますので、容体に変化が見られたときは、早めに医療機関を受診するようにして下さい。
甲状腺は、喉ぼとけのすぐ下にあり、気管の全面を取り囲むように位置している器官です。大きさは上下方向に3~5㎝、重さは15~20グラムしかないのですが、身体全体の新陳代謝を促す甲状腺ホルモンを分泌する非常に重要な臓器なのです。
甲状腺が気になっている方は少なくありません。特に、40歳以上の女性の方の場合、甲状腺疾患の方が頻繁に見受けられます。
甲状腺に何らかの異変が生じると、疲れやすくなる、肌のむくみ、便秘がちになる、冷え性、動悸、イライラして落ち着かないなど、様々な全身症状が現れます。多くの方が日々感じているため、ご自身の判断で「更年期の症状なのだろう」、「年を取ったのだから、体調が優れなくても仕方ない」とあきらめておられる方も多いようです。しかし、適切な治療によって症状を軽減できるケースも沢山あります。一人で悩まれず、医療機関を受診して健康的な生活を取り戻すようにして下さい。
頸部に生じるしこり(腫瘤)には、様々な原因があります。多くの場合はのどや歯の炎症によるリンパ節の腫れですが、時には耳下腺、甲状腺といった頸部の臓器にできる良性・悪性の腫瘍が生じることもあります。
また、舌がん、咽頭がん、喉頭がんなどでは頸部のリンパ節に転移をきたし、リンパ節の腫れがきっかけで見つかることもあります。長期間の腫れ、痛みを伴うしこり、サイズが大きくなる、などの症状があれば特に注意が必要です。耳鼻咽喉科では超音波検査などで診断することができますのでご相談ください。