耳鼻咽喉科坂口クリニック

口腔・咽頭・喉頭の診療

口腔・咽頭・喉頭の役割について

消化管の入り口である口腔は、食べ物を咀嚼し、味わい、飲み込む役割を担っています。のどは、空気の通り道(呼吸器)、声を生み出す発生器、飲食物を通過させる消化管という3つの重要な役割があります。さらに、どれも重要な機能ですので、この部位が病気になると生活の質が大きく低下します。下記のような症状が見られた際には、お早めに耳鼻科を受診して下さい。

口腔・咽頭・喉頭の主な症状

扁桃炎

舌の付け根の上側の両サイドにある口蓋扁桃というリンパ組織にウイルスや細菌が侵入し、急性の炎症を引き起こす病気です。咽頭の痛みとともに、高熱や頭痛、全身の倦怠感、関節痛などの症状が見られた場合、この疾患が疑われます。

扁桃の状態を観察し、のどの奥の両側が赤く腫れていた場合は、必要に応じて血液検査や扁桃の細菌培養検査などを行い、確定診断します。

この疾患の原因がウイルス性の場合は、解熱剤を服用し、安静にしていることで通常は快方に向かいます。細菌性の場合は、抗生剤を投与するとともに、症状を和らげるための解熱剤、消炎鎮痛剤、うがい剤などを処方します。
扁桃炎を頻繁に繰り返す方では、手術により扁桃腺の摘出が必要になることもあります。

口腔乾燥症

通常、唾液は一日あたり1~1.5リットルほど分泌され、口内に入ってきた食べ物を噛みやすくし、消化を助けてくれる役割を担っています。ところが、何らかの要因によって唾液の分泌量が減少したり、唾液の蒸発量が増えて口の中が乾きやすくなってしまうことがあります。これが口腔乾燥症であり、一般的にはドライマウスとも呼ばれています。

主な原因としては、鎮痛剤や降圧剤などの薬物の副作用、糖尿病、加齢に伴う唾液腺周囲の筋力低下、ストレス、鼻炎などによる口呼吸などが考えられます。これらの原因を特定するため、問診に加えて唾液量検査、エックス線検査、血液検査などを行います。

治療に関しては、生活習慣の改善と対症療法を併行し、症状の改善を目指します。具体的には保湿性薬剤や保湿力の高い洗口液、保湿ジェル、保湿用マウスピース、夜間義歯の使用などが効果的です。この他、こまめに水分補給し、口腔内の乾燥を予防することも大切です。

味覚障害

食事を楽しむためには、美味しいものをきちんと把握するための「味覚」が重要な役割を果たしています。味覚障害とは、この機能に支障を来たし、食べ物の味が分からなくなったり、本来とは異なった味(渋味など)を感じたりする病気です。

味覚が異常になる原因は、幾つもあります。よく見られるものだけでも、降圧剤や抗生剤などの薬物使用によるもの、カンジダ症、舌の表面(舌苔)の異常、唾液の分泌量の低下、貧血、歯周病、口腔乾燥症、糖尿病、脳梗塞、がん治療による舌乳頭の萎縮、加齢に伴う味蕾の減少などが挙げられます。

そのため、治療にあたっては、これらの原因疾患を特定し、その疾患の治療を進めることが第一となります。なお、このような原因疾患としてよく見られるケースに、亜鉛欠乏症があります。亜鉛が不足すると、舌の表面にある味を感じる細胞の新陳代謝がうまく行われなくなり、味覚を正しく感じ取ることが出来なくなってしまうのです。味覚がよく分からなくなった方は、食生活を見直し、魚介類や肉類、海藻などのように亜鉛を多く含む食品を積極的に食べるようにしましょう。

声帯ポリープ

喉頭にある声帯という器官にこぶ状のポリープ(良性腫瘍)が出来る疾患です。これにより、声がかれたり、のどに痛みが生じたり、思い通りの声が出せなくなります。主な原因は、のどの酷使です。声帯の周囲の粘膜が弱っているときに、声を出し続けたり、風邪などによる咳で声帯周囲の粘膜が傷つけられると、粘膜にポリープが発生してしまうのです。

なお、ポリープと同じように見える腫瘍であっても、実際はがんであるケースもありますので、のどに違和感を覚えた方は、早めに耳鼻咽喉科を受診し、必要な検査を受けることをお勧めいたします。

治療に関しては、通常、顕微鏡を見ながらポリープを取り除く手術が行われます。この手術後、数日間は声を出すことが出来ませんが、徐々にのどの違和感が解消し、元通りの状態に戻ります。


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