鼻は、大きく分けて2つの重要な役割があります。ひとつ目は、においを嗅ぐ機能です。これにより、腐敗した食べ物の臭いを嗅ぎ分けたり、有毒ガスなどを察知し、食中毒やガス中毒などの危険を避けることが出来るのです。
もうひとつは、呼吸器官としての機能です。ご承知の通り、肺に送られた酸素の多い空気は、血液中に溶け込んで全身の様々な器官に運ばれ、二酸化炭素の多くなった空気を再び鼻や口から外気に排出しています。
この空気を肺に送り込む際には、十分に温めて加湿し、ウイルスや細菌、ほこりなどを取り除き、感染症などを防止しなければなりません。鼻は、このように綺麗な空気を肺に送り込むためのフィルターのような役目を果たしているのです
鼻が病気になると、吸い込んだ空気を浄化できなくなったり、においを嗅ぎ分けられなくなったりします。次のような鼻の症状が見られたときは、お早めに耳鼻科を受診するようにしましょう。
こんな鼻の症状は
ご相談ください
など
鼻の副鼻腔(上顎洞、篩骨洞、上顎洞、蝶形骨洞)という場所に細菌やウイルスが侵入して炎症が起きる疾患です。副鼻腔に膿がたまるため、一般には「蓄膿症」と呼ばれることもあります。風邪などをひいた際にウイルスなどが鼻の奥で増殖し、しばらくしてから出現するケースがよく見られます。
主な症状は、鼻が詰まる、黄色くネバネバした鼻水が頻繁に出てくる、鼻呼吸が出来ずに口で呼吸するようになる、においが分からなくなる、頭痛、発熱、目痛などです。
治療にあたっては、主に抗菌薬や消炎薬、膿の排出を促進する薬などを用い、症状の悪化を食い止めるとともに、治癒を目指します。抗生剤の入ったネブライザー吸入を行い、副鼻腔の換気と排泄を促すこともあります。このような治療でも効果が見られないときは、手術を行なうこともあります。
最近では内視鏡を用いて痛みや出血を最小限に抑えた手術を行うことが一般的になっています。
主に鼻腔の壁が傷つけられ、出血する状態です。鼻の粘膜には毛細血管が張り巡らされていますので、指などで鼻の粘膜をこすったり、外傷や感冒などで刺激が与えられると出血しやすくなるのです。高血圧症の方などは血管が破れやすい状態なので、外部的な刺激が殆どなくても出血することがあります。
また、上顎がんなどの腫瘍が原因となって鼻出血するケースもありますので、慢性的に鼻血が続いているときは、耳鼻咽喉科を受診し、必要な検査を受けることをお勧めいたします。
検査にあたっては、鼻の中をよく観察し、出血部位を突き止めます。鼻の奥からの出血の場合、鼻腔用ファイバーを用いて出血部位を確認します。必要に応じて血液検査などを行うこともあります。
治療に関しては、原因疾患の有無によって異なります。アレルギー性鼻炎や鼻前庭炎、副鼻腔炎、鼻中隔弯曲症、高血圧症、鼻の腫瘍などがあるときは、鼻血を止めるだけでなく、その原因疾患の治療も行います。
特に原因疾患がない場合で最もよく出血する箇所は、鼻の入口から約1cm入ったところにあるキーゼルバッハ部位です。耳鼻咽喉科でキーゼルバッハ部位の粘膜を電気凝固することにより、出血しにくくすることができます。
なお、このような処置をしても血が止まらないときは、鼻の奥からの出血が考えられますので、出来るだけ早く耳鼻科を受診するようにしてください。
鼻づまりなどが発生していないにも関わらず、匂いがよく分からなくなってしまう疾患です。鼻腔に入ってきた匂い成分は、鼻中隔と中鼻甲介の間にある鼻粘膜を通じて嗅細胞に伝わり、その刺激が脳へと届けられるわけですが、この伝達が上手くいかないことにより、臭覚障害が引き起こされるのです。
検査にあたっては、原因を調べるための問診を行ったうえで、内視鏡検査や画像検査、嗅覚検査などを行います。
治療法は、それぞれの症例によって異なりますが、主に嗅覚障害の原因を除去し、症状の改善を目指します。原因疾患として慢性副鼻腔炎、鼻づまり、アレルギー性鼻炎などがあるならば、それらの治療を進めるのです。
炎症やウイルスによって嗅粘膜に障害が起こっているときは、ステロイド薬を用いた点鼻療法、神経を活性化させるビタミンB剤の内服が中心となります。しかし、症状の改善が見られないときは、炎症を起こしている粘膜などを内視鏡を用いて取り除く手術療法などが選択されます。
私たちの身体には、もともと体内に侵入した抗原(細菌や異物、花粉など)を排除しようとする免疫機能が備わっています。しかし、ときには特定の抗原に対して免疫機能が過剰に反応してしまうことがあります。これがアレルギーです。